ペナルティエリアからの救済は難しい?
先頃の笠りつ子プロの「2打罰事件」は、ルールの適用ミスによりペナルティを受けた事例として、ゴルフファンの間でも話題になりました。以下に、その事件の概要と、ラテラルハザード(現在の用語では「ペナルティエリア(赤杭)」)からの処置、他のドロップとの違いについてわかりやすく説明しようと思います。
私も事件を知るまで、このルールを理解しておらず、笠りつ子プロと同じ間違いを犯したでしょう。
笠りつ子プロの2打罰事件
2025年春に行われた「Vポイント×SMBCレディス」において、笠りつ子プロは赤杭で示された「ペナルティエリア(ラテラル)」にボールを打ち込み、「2クラブレングス以内の救済処置」を選びました。
そして、そのときドロップした位置に立ってみたところ、スタンスの一部がペナルティエリアにかかっていたため、再ドロップを行いました。
その判断は正しいと思われる方も多いかと思いますが、実はその再ドロップの処置はNGだったのです。
なぜ2打罰になったのか?
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最初のドロップでスタンスがペナルティエリアにかかっていた → 再ドロップの対象になる(※)
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しかし、ルール上は「スタンスがペナルティエリアにかかってもドロップは正規」であるため、実は再ドロップは不要だった。
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つまり、無効な再ドロップ → 誤所からのプレーになった。
これにより、「誤所からのプレー」として2打罰が科されたのです。
表にまとめると
違えやすいポイント | 正しいルール |
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スタンスがペナルティエリアにかかるとNG? | ✅ 問題なし。スタンスの位置は関係ない |
スタンスが赤杭に入ったから再ドロップ? | ❌ 再ドロップ不要。救済エリア内ならOK |
誤って再ドロップしてプレー | → ❌ 誤所からのプレーで2打罰他のドロップの場合との相違点 |
他の救済とのスタンスに関する相違点(5ケース)
他の4つのケース(動かせない障害物、修理地、アンプレヤブル、グリーン上)での救済の場合と、比較して下に表にまとめました。
ペナルティエリアからの救済だけが違っています!
救済後のスタンスの扱い比較表(5ケース)
救済の種類 | 救済のタイプ | スタンスがかかっていてOK? | 救済の完了条件 | 救済方法 | ペナルティ |
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🟥 ペナルティエリア(赤・黄) | 有罰(1打) | ✅ OK | ボールが救済エリア内に止まれば完了 | ドロップ | 1打罰 |
🟩 修理地(GUR) | 無罰 | ❌ NG | スタンス・スイング・ボールすべてが修理地の影響を受けていない | ドロップ | 無罰 |
🟦 動かせない障害物(例:カート道) | 無罰 | ❌ NG | スタンス・スイング・ボールが障害物の影響を受けていない | ドロップ | 無罰 |
🟠 アンプレイアブル | 有罰(1打) | ❌ NG | スタンス・ボールともに救済エリア内であること | ドロップ | 1打罰(誤所から打つと+2) |
💧 グリーン上の水たまり | 無罰 | ❌ NG | スタンス・スイング・ボールが水たまりの影響を受けないこと | プレース | 無罰 |
ルールが簡素化されていない?
数年前のゴルフルール改定で、ルールが「簡素化された」と聞きました。
しかし、ペナルティエリアからの処置だけがどうして違うのでしょうか?
紛らわしいですよね。
私と同じような疑問の声を、ゴルフダイジェストの記事が載せていました。
補足:レッドペナルティエリア(赤杭)からの処置の正しい方法
【救済オプションは3つ】
救済オプション | 方法 | 特徴 |
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① ストローク&距離の救済 | 最後に打った場所から打ち直す | 最も確実だが、距離を大きく戻ることも |
② 後方線上救済 | ボールが最後に赤杭を横切った点とピンを結んだ線の後方にドロップ | 任意の後方距離が取れる |
③ ラテラル救済(赤杭専用) | 赤杭を横切った点から、ホールに近づかずに2クラブレングス以内にドロップ | 横に逃がせる便利なオプション |